ホワイトカラーエグゼンプションにしたら仕事の成果があがるのでしょうか
「これからの日本の論点 日経大予測2018(日本経済新聞社)」を読みました。
その中で「政府の働き方改革で本当に生産性は上がるのか」と題した内容について紹介します。
<要点>
- 脱時間給制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)にすると、工夫して効率的に働き成果を上げ、仕事の時間を短縮しようとするインセンティブが働くことになる。
- 脱時間給制度には、長時間労働を助長しかねないとの批判もあるが、逆の側面もある。
- カルビ-では社員が毎年度、具体的な数字を挙げて会社との「コミットメント(約束)」を設定する。
- 働き手の能力開発の強化は重要課題
- しかしながら、公共職業訓練は改革すべき点が多い。
- 企業に勤めている人たちが学びやすいよう在職者向けに退社後の時間帯の短期講座を増やすことや、ネットを活用して自宅や出先で学べるオンライン講座の開設などを考えるべき。
(以上)
ホワイトカラーエグゼンプションは、2007年に法案化に向けた動きがあったように(法案提出は断念)、随分前から言われていると思いますが、最近では働き方改革と関連して言われることが多くなりました。
働く「時間」ではなく、「成果」で評価すべき。成果での評価となると、「9時から17時まで」と決まった時間職場にいる必要がなく、求められる成果が出せれば、働く時間は基本的に自由となり、子育てや介護をしている人には仕事と両立しやすくなる。
また、短時間で仕事を終えようという意識が働き、生産性があがる。
という内容で言われています。
ただし、成果で測るため、ご承知のとおり何時間働いても時間外手当は出ません。
そのため、長時間労働となり労働者の健康を害することになるという意見もあります。
(残業代ゼロ、過労死促進と批判されているところです)
そうなると、生産性も下がるでしょうね。
問題は、求められる成果が妥当なものなのかどうかだと思います。
労働者側からしたら、到底、一日8時間働いても結果を出すことが出来ないほどのことを求められるのではと危惧します。
本書で紹介されているカルビーはどのようにしているのでしょうか。
この危惧が解決されている制度となっているのでしょうか。
ホワイトカラーエグゼンプションは、年収1000万円以上を対象とした法案が出されるようですが、多くの人が言われているとおり、いずれは、もっと年収が低い労働者も対象とするような法案の改正に向けた動くが出てくるでしょう。
本書は、日経新聞の記者の方が書かれたものなのでホワイトカラーエグゼンプションのメリットだけ書かれていますが、デメリットの意見を載せた本も紹介したいと思います。
この本も読みました。