田園回帰に関する調査研究報告書を読んで思ったこと。
総務省地域力創造グループ過疎対策室が「田園回帰に関する調査研究報告書」を公表しました。
人口減少で、「消滅自治体」ということが言われていますが、一方で、若い世代を中心に、農村部等過疎地域に移住・定住している人が増えているということも聞きます。
本調査で、その実態等についてまとめられていますので、要点を紹介します。
1 調査趣旨
過疎地域への移住の実態やその要因を分析し、今後の過疎対策の検討材料とする。
2 調査方法
- 平成12年、平成22年及び平成27年の国勢調査により、移住者数の推移や特徴等について分析
- 過疎関係市町村に移住した人を対象にアンケート調査を実施し、移住の背景や移住理由、移住者の特性等について分析
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過疎関係市町村の移住・定住促進施策の実施状況等を調査し、実地割合や地域ブロック別の特徴等を把握
3 総括と課題(要点)
- 都市部から過疎地域への移住者の割合は、平成12年から大きく変化していないが、移住者が増加している区域の数が拡大している傾向が見られる。
- とりわけ、離島や振興山村といった過疎地域の中でも条件不利と考えられる区域において、都市部からの移住者が増加している区域の数が、より拡大している傾向が見られること。
- 都市部の住民のうち、約3割の方が農山漁村地域に移住してみたいという意識を持っている。特に、この傾向はより若年層で顕著
- 過疎地域に移住された方に対するアンケートを通じ、3割近くが地域の魅力や農山漁村地域(田舎ぐらし)への関心が転居の動機となったと回答。都市部からの転居者に関しては4割近くとなっている。
- 転勤などの「ライフサイクル移住」は減少しているが、豊かな自然環境の中での子育てやアウトドアスポーツなど趣味を楽しむ「ライフスタイル移住」が増加している。
- 行政以外にも、NPO法人や地域運営組織などの移住・定住支援を実施している主体がある市町村の方が、移住者が増加している傾向がある。
- 施策だけでなく、地域の魅力が重要。また、総合的な地域の受入体制ができていることが重要であり、さらに、行政の動きに先んじて民間に移住・定住に取り組んでおり相談できる人の存在が重要である。
(以上、報告書より)
総務省が今年1月に公表した、「住民基本台帳人口移動報告 平成29年(2017年)結果」によると、転入超過となった都道府県は、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県、福岡県、愛知県及び大阪府の7都府県で、東京圏や大都市のみです。
さらに、圏域単位(東京圏、名古屋圏、大阪圏)で見ると。転入超過となっているのは東京圏だけで、まさしく「東京一極集中」の状況です。
そのような状況の中で、「移住者が増加している区域の数が拡大している」という結果は、「東京一極集中の是正」とまではいかないまでも、都市から過疎地域への人の流れが増えている現状があり、取組次第では、もっと広がる可能性があると思い興味深い結果だと思いました。
移住者を増やすポイントは「人」とのこと。
この「人」を見つけることが出来るかがどうかですね。