提言 働き方改革
「検証 働き方改革」日本経済新聞社(2017年) 読みました。
本書の提言について、少し紹介します。
- ①IT活用で職住近接の状況を整えるなど、年齢差や性差に関係なく働く人を支える
- ②転職・再就職の市場を拡充し、労使のニーズにあった職業訓練を提供
- ③企業は成長分野に資源を集中し、働き手の能力開発にも取り組む
①IT活用で職住近接の状況を整えるなど、年齢差や性差に関係なく働く人を支える
(本書より抜粋)
- ITの普及で在宅 や家のそばで働くのも可能
- 時間や場所に縛られない自由な働き方が広がっている。
- 正規・非正規、年齢差や性差に関係なく、働き手自身が自らの体調や生活に即した働き方を選べる。
- そうした自由な働き方は成長の礎となる。
自由な働き方、多様な働き方は、子育てや介護をしなければいけない人のためにも、もっと広がってほしいと思う反面、「働きすぎ」にならないかという懸念もあります。
本書は、自由な働き方を勧める意見を多く載せていますが、長時間労働に関する意見はあまりありません。
「生産性向上のためには脱時間給を」という意見も載せられていますが、脱時間給と労働者の体調管理が両立するような具体的な意見・提言もあればよかったと思います。
②転職・再就職の市場を拡充し、労使のニーズにあった職業訓練を提供
(本書より抜粋)
- 有能な人材を社内外から登用しなければ生き残れない。
- 長期雇用で築く労使の信頼関係は保ちつつ、雇用市場の流動化を進めるべき。
- 働き手も国内外どこででも通用する能力や技術、ふたつ以上の会社で働く覚悟が求められる。
- 官民の協力で転職や再就職しやすい仕組みを作り、ビジネスの現場に即したきめ細かい職業訓練を提供
- ひとつの会社に縛られない時代になったとの認識が必要
「雇用市場の流動化」はよく言われることですが、「安心して会社を辞めることが出来る社会」になるかということだと思います。
日本では転職すると一般的に収入が下がるなどマイナスイメージが強いですが、それを払拭できるか。
人手不足の状況なので転職しやすい環境かもしれませんが、本書でも指摘されているとおり、労働者もこれからは特定の分野の「プロ」になるため自己研鑽が必要なのかもしれません。
③企業は成長分野に資源を集中し、働き手の能力開発にも取り組む
- 働き手の愛社精神に自己犠牲に甘え、長時間、低賃金で働かせている企業は今だ少なくない。
- 人への投資を再検討すべき
- 研究開発や能力向上を目的に長期的な視点で人材育成に力を注ぐ姿勢が問われている。
労働者は自己研鑽。企業は人材育成。ということで、一人ひとりの能力を高めることが生産性の向上のために大事ということですね。
「働き方改革」は、今、大きく取り上げられています。
若年労働者が今後減少するなか、改革に向けての圧力は高まると思います。
また、AIの進化により働く場がなくなるとも言われています。
これからどうなっていくのか。いろんな本を乱読し紹介します。