同一労働同一賃金は実現するのでしょうか。
働き方改革の目玉と言われています「同一労働同一賃金」
同一労働同一賃金の根拠法である「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(略して「パートタイム・有期雇用労働法」)が今年(2020年)4月から施行(中小企業は来年(2021年)4月から施行)されます。
そのため、4月から同一労働同一賃金がスタートすると言われています。
あと3か月を切りましたが、企業の取り組み状況はどうでしょうか。
4月からの開始に備えて、現在、約1000人の短時間・有期雇用社員の待遇を検討していますが、
「本当に全ての(大)企業で、同一労働同一賃金が実施されるのだろうか?」
というのが、私の今の率直な意見です。
なぜなら、どこまでしたら「同一労働同一賃金が達成した」と言えるのかがはっきりしないことです。
法律の条文では、「不合理と認められる相違を設けてはならない。」(法第8条)としか明記されておらず、「何が不合理で何が不合理ではないのか」という点がはっきりしません。
厚労省も「ガイドライン」を発出し、この点をクリアにしようとしていますが、いくつかの具体例が示されているだけで、実際の現場に応用することは難しいです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf
同一労働同一賃金の考えは、既に、「労働契約法」の第20条や「パートタイム労働法」第8条でも「労働条件に不合理な格差があってはならない」とされています。
この規定に基づき、いくつか訴訟が提起されて判例が示されています。
この判例の方が、ガイドラインよりも参考になります。
代表的な判例を紹介します。
出典:不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(厚生労働省)より
幅広くいろんな手当について判断されています。
よく、「正規労働者と非正規労働者は仕事の内容・成果が違うので、手当に違いがあっても当然」
という人がいますが、雇用形態に関係なく、手当の支給目的によって不支給が不合理な待遇差かどうか判断されることになります。
注意しないといけませんね。
日経新聞に、同一労働同一賃金の取り組み状況(2019年11月時点)の記事が掲載されていました。
取り組みが進んでおらず、その理由として、人件費の増加が要因だと言われています。
同一労働同一賃金を実現するためには、正社員の給与の引き下げも行っていかないといけないでしょうね。