要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

2020年 元旦の社説を読み比べました。(その2)

前回に引き続き元旦の社説を紹介します。

 

「元旦」の画像検索結果

 

 

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拓論’20 民主政治の再構築 あきらめない心が必要だ(毎日新聞)

【概要】

  • 我々に安⼼感を与えてきた⼈権保障、権⼒分⽴、法の⽀配などの基本原理が危うさを増している。 
  • 深刻なのは、⺠主政治の起源でもある欧⽶の多くの国々で、ポピュリズムが⼤⼿を振っていることだ。 
  • 共通しているのは、敵か、それとも味⽅かの⼆分法で分断を深める政治⼿法だ。
  • 多数派の論理で異論を排除する光景が⽇常化している。
  • 08年のリーマン・ショックの影響で、先進諸国の中産階級が没落すると、⺠主政治が脅かされる状況が⽬の前に表れた。
  • 没落する先進国の中産階級の不満をあおることで、ポピュリスト政治家は上昇気流をつかむ。社会の変化が⼤きいほど⽀持を集めやすい。
  • ⽇本が果たすべき役割を、改めて考えるとき。
  • 安倍⾸相は野党の異論に⽿を傾けないどころか、敵視する姿勢さえ際⽴つ。それで強固な⽀持基盤を獲得する⼿法は、ポピュリズムの潮流に沿う。
  • ただ、選挙の勝利は強固な⽀持層より「代わりがいない」という消極的選択に⽀えられている側⾯が強い。
  • 政策を実⾏に移す段になると、多⽅⾯に配慮せざるを得ないというのが実相
    だろう。このため、⽬⽴った成果はあげられていない。
  • フランスの経済学者ジャック・アタリ⽒は今の世界の状況を「20世紀初頭に近い」と形容した。⺠主政治の不安定化を受けた指摘 
  • ⺠主主義は、政策決定に時間がかかり、最終的に合意されたものもあいまいさが常に残る。
  • しかし、⽇本は⺠主政治のモデルを教科書のように⽬指すべき。
  • 今ここで、⼤事にしてきた価値観を否定する必要はない。
  • 東京⼤の宇野重規(しげき)教授(政治哲学)は「⺠主主義というものは忍耐⼼がいるものなのに、決定能⼒の低さに世界が疲れ、価値観が揺らぎ始めている。⺠主主義は⾮常に危機的になっている」と話す。
  • あきらめる⼼にあらがいたい。

(以上、毎日新聞より)

 

 

次世代に持続可能な国を引き継ごう(日経新聞)

【概要】

  • 日本は改革を進める年にしなければならない。企業は成長のくびきを解き放ち、国は社会保障やエネルギー・環境政策を持続可能な仕組みに改める必要がある。将来への不安を次世代に引き継いではならない。
  • 第1になすべきは企業の変革である。社会保障などを担う国の体力を強くするには、産業競争力を高めねばならない。
  • 生産性を引き上げてイノベーションを起こすには、たこつぼの組織を壊し、外部人材を起用し、意思決定の速度を上げることが欠かせない。競争環境の変化を先取りし、攻める分野に資源を集中する事業の棚卸しも必要だ。
  • 年功賃金の見直しや多様な雇用形態の実現なども必要。「働き方改革」が進めば女性は出産、育児がしやすくなる。夫も育休取得や家事参加に積極的になるだろう。
  • 第2になすべきは、国が責任をもって少子化対策や持続可能な社会保障への転換を推進することだ。
  • 年齢にかかわらず、負担能力に応じて診療代などを払う「応能負担」を徹底する。これは社会保障全般に共通する課題だ。
  • 第3にすべきことも、国の仕事だ。エネルギー・環境政策を一体として立案し、工程表をつくることである。再生エネルギーを使いやすい電源にし、その比重を高めるイノベーションが是が非でも必要なのだ。
  • 持続可能な国づくりの具体策を競う年にしてほしい。

(以上、日経新聞より)

 

毎日新聞は昨日紹介した朝日新聞の社説と同じ観点ですね。

(諸外国の状況→日本の状況→政権への批判 という構成も同じです。)

それだけ今は「民主主義」が危機にさらされているということでしょうか。

ただ、このような流れは、いずれ「揺り戻し」があると思います。

このまま一直性に「民主主義の崩壊」に向かうということはないと思いますが。

 

日経新聞は、国がなすべきことを3つの柱でまとめてあり、わかりやすい構成となっています。

内容についても、「働き方改革」「社会保障」など、身近な課題について述べられており、私は、こちらの社説のほうが共感出来ました。

 

特に私は「働き方改革」が今年どれくらい進むのかに注目しています。