要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

2019年 最初の社説を読み比べました。

「今年はどんな年か、何をすべきか。」新聞各社をどう考えているのでしょうか。

今年最初の社説を読み比べました。

 

要点は次のとおりです。

 

 

政治改革30年の先に 権力のありかを問い直す(朝日新聞)

 

■小選挙区制は失敗?

  • 1989年5月、自民党は「政治改革大綱」を世に出した。政権交代の不在と「緊張感の喪失」を、日本政治の欠陥と見なし、衆院への小選挙区制導入をうたった。
  • 一方を圧勝させ、強い政権を作らせる。思う存分やらせて、だめなら他方に取りかえる。改革の成否は、そのサイクルが確立されるかどうかにかかる。
  • しかしながら、行き着いた先が、「安倍1強」である。今、執政の中枢である首相官邸への権力の集中はすさまじい。その使い方も実に荒々しい。非力な野党が政権を奪い返す展望は見えない。
  • 小選挙区制の導入は端的に失敗だったのだろうか。
  • 30年前に始まった大議論を一からやり直す余裕がないとすれば、必要なバージョンアップを地道に進めていくしかない。

■弱い国会を強くせよ

  • 憲法53条の後段。衆参どちらかの総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会を召集せよ。内閣が開きたくなくても、国会の意思として開かせ、権力分立の実を上げる仕組み。
  • ところが、安倍政権憲法に基づく野党の要求を重ねて無視してきた。違憲批判が起こるのは当然である。
  • 「首相の専権」などと仰々しく語られる衆院の解散権にも、縛りをかけなければならない。
  • 参院への権力の割り当てと、その役割の見直しも避けて通れない。「地方の府」にする案をはじめ、議論の積み重ねはある。
  • 政治に緊張感を持たせる最良の手段は、主権者が厳しい視線を絶やさないことである。

 

米中対立の試練に立ち向かえ 新時代に適した財政・社会保障に(読売新聞)

  • 世界1位と2位の経済大国の対立は、安全保障や通商、ハイテクなど多岐にわたり、相当長い間続くと覚悟すべき。
  • 「新たな冷戦」に怯え、身をすくめていても意味はない。米国の同盟国であり、中国と深い関係にある日本こそが、地域の安定と繁栄を維持する責務を、粘り強く果たさねばならない。
  • 日本は、米国との貿易協議に取り組みつつ、米国が離脱した環太平洋経済連携協定(TPP)の拡大や、中国やインドなどアジア各国との自由貿易圏づくりを進めたい。
  • 中国が対米関係の悪化で、対日外交に意欲を示す今は、日中が率直に話し合える機会である。
  • 中国に、国際的ルールの順守と、日米欧との真の共存共栄を受け入れさせることが目標である。日本など、民主主義国の戦略と外交手腕が問われている。
  • 4月30日、天皇陛下の退位で平成は幕を下ろす。30年間を総括し、内政の課題を明確にしたい。

■将来不安の払拭急務だ

  • 昨年11月の世論調査で平成時代の印象を尋ねた。「不安定」と「停滞」が「安定」と「発展」を上回った。平成への改元直後の調査とは、ちょうど逆の結果となった。
  • 医療、介護、年金は、持続可能であると、国民が実感できるようにしたい。長寿化で給付の受け手が増え、支え手が減った以上、負担と給付のバランスを取り戻すべきだ。痛みは伴うが、将来世代へのツケを軽くできる。
  • 社会保障制度を支える消費増税が10月に控える。消費税は、所得税より幅広い層が負担し、景気変動に左右されにくい。超高齢社会の安定財源であることを周知すべき。
  • 安定した社会を、治安の良さや、教育への熱意、勤勉の尊重といった美点とともに次代に引き継ぎたい。

 

次の扉へ AIと民主主義 メカニズムの違いを知る(毎日新聞)

  • 「情報爆発」の時代と言われる。スマートフォンという高性能コンピューターを多くの人が持ち歩き、デジタルデータの流通量が年ごとに飛躍的に増えていく状況を指す。
  • デジタル革命による情報爆発の特質は、その量が膨大過ぎて人間が共有できなくなったこと。情報の海に飛び込んだ人間は、好みの情報にすがる。そこにフェイクニュースが紛れ込み、AIでカスタマイズされた情報が追いかけてくる。
  • 政治的に見れば、SNS(交流サイト)は人びとの不満を増幅させて社会を分断する装置にも、権力者が個々に最適化させたプロパガンダを発信する道具にもなり得る。
  • 民主主義の価値は試行錯誤を重ねるプロセスにある。人間は一人ひとり違うからこそ、対話を続けて集団の共感を維持しようとする。処理の速さと分類を得意とするAIとは根本的なメカニズムが異なる。
  • 私たちはこれまでAIに対し無防備過ぎたかもしれない。AIが「ポスト民主主義」の引き金を引くシナリオは悪夢だろう。
  • 議論をする。互いを認め合う。結論を受け入れる。リアルな肌触りを省いたら民主主義は後退する。

 

不確実性にたじろがず改革進めよ (日経新聞)

  •  日本企業が抱える課題は、時代を変えるようなイノベーションを主導できていないことにある。
  • グローバル化とデジタル化という二大潮流に乗れなかったことが一因だ。
  • コストダウンだけで利益を確保する「縮小均衡」の経営を脱する必要がある。
  • たこつぼ型や年次重視の組織を見直さないとデジタル化の波に乗ることはできないだろう。
  • 日本企業の内部留保は潤沢だ。人手不足は生産性向上のチャンスともいえる。電気自動車の欠点を埋める次世代蓄電池の開発などでも世界をリードしてほしい。
  • 日本の社会的、政治的な安定は突出した存在だ。
  • 9割を超える就職内定率が象徴する雇用の安定が下支えする。企業の新陳代謝や労働市場の流動性を高めつつ、分配政策などを活用し、この安定はできるだけ維持すべき。
  • 資本主義や民主主義の疲弊が海外で目立つが、日本はこのふたつの価値を守り、米中などに働きかける責任がある。
  • さまざまなリスクを抱え、今年は変化がどう起こるのかが読みにくい、不確実性をはらむ年だ。
  • 平成の次の時代を豊かなものにするために、日本の復権を実現するために、政府も企業も改革に全力を尽くす年にしたい。

 

御代替わり 感謝と敬愛で寿ぎたい 皇統の男系継承確かなものに(産経新聞)

  • 譲位は江戸時代後期の文化14(1817)年に、第119代の光格天皇が仁孝天皇へ譲られて以来、202年ぶりとなる。
  • 初めて譲位を目の当たりにする経験は、国民それぞれが天皇、皇室のことを改めて知り、考える貴重な機会になる。
  • 天皇はなぜ、憲法の筆頭条文に記されているのか。
  • それは、近代憲法が定められるはるか昔、国の始まりから今に至るまで、天皇が日本の首座にいらしたからにほかならない。歴史と伝統の重みが「国民の総意」をうたう憲法の記述を導いている。
  • 5月の改元をめぐり、政府は新元号を4月1日に閣議決定し、同日中に公表する方針を固めた。

  • 御代替わりの後には、2つの重要事に取り組むべきだ。
  • 皇位継承順位2位となられる悠仁さまのご教育について、未来の天皇としてふさわしいお心構えを身につけていただくよう、政府と宮内庁は対応を急いでほしい。

  • もう1つは、確かな皇位継承を保つことだ。古代から現代まで、一度の例外もなく天皇の即位に貫かれてきた大原則は、男系による継承である。

 

<以上、各新聞社の社説より>

 

 

5社それぞれの内容です。

その中で、「AIと民主主義」という少し変わった視点で論述している毎日新聞が目立ちました。

 

AIは今年も大きく注目されるテーマになるでしょう。

AIと民主主義が両立するためにはどうすればいいでしょうか。

 

AIに関しては今年もいろいろな書籍が出版されると思います。

要点を紹介します。