人口減少 恐れるに足らず
逆説の日本経済論 斎藤史郎 著(2017/10 PHP研究所)を読みました。
13人の方とのインタビュー形式で内容が書かれているとともに、小泉進次郎氏の講演内容が掲載されています。
そのなかで、何人かの内容を紹介します。
①人口減少恐るるに足らず
<要点>
- 人口が増加していないときでも経済成長している時があり、人口増加率が経済成長率を決定的に決める要因ではない。
- 生産性を高めれば、十分補える。
- 経済成長こそ最大の国防政策。経済成長のために最も有効な対策は、構造改革による生産性の向上であって、人口増加策ではない。
- 消滅可能性都市での社会流出防止のために国が地方にお金を注ぎ込むのは反対
- 国は衰退するところを無理矢理引き止めるのではなく、延びるところを妨げている制度を取り除くことが大切
- 経済成長をもたらすのは人口増加策ではなく構造改革による生産性の向上
<以上>
「消滅可能性都市は見捨るべし」とも受け取れる意見ですね。
国は、地方創生の交付金で、地方を2019年度まで支援することとしています。
「国の支援で地方は創生出来たのか、創生出来なかった地方はどうするのか。」という議論が、最終年度となる来年度にされるでしょう。
いつまでも支援は出来ないと思いますが、支援を止めたら本当に「消滅にまっしぐら」となる地方も出てくるでしょうね。
②構造改革の有効性
<要点>
- 生産性の上昇には2つの主な源泉がある。
- 一つは、外国から技術を取り入れたり、イノベーションを起こすこと
- もう一つはセクター間の生産性のギャップを埋めること。(労働や資本等の生産要素を生産性の高いところに移していくこと)
- 生産性のギャップを埋めることが構造改革
- 経済成長には必ず成長産業と衰退産業を伴う。
- 成長は衰退産業や衰退する地域の犠牲のもとに実現する。
- 衰退産業をしっかり衰退させるメカニズムがなければ経済全体は成長しない。
③ 構造改革と所得再分配
<要点>
<以上>
衰退する産業は衰退させ、あわせて、セーフティネットをしっかりと構築すべし。という趣旨です。
ここでのセーフティネットは雇用保険や就職支援だと思いますが、まず、しっかりとしたセーフティネットがあって、そして、衰退産業を衰退させるという順序だと思います。
そのためには、企業が求める人材と合致するように、人材教育の充実が必要です。
④雇用の流動化について
<以上>
先ほどと同じですが、雇用の流動性を図るためには。人材教育の充実が必要です。
⑤少なすぎる対内直接投資
<以上>
なぜ、海外からの直接投資が低いのでしょうか?(しかも、北朝鮮よりも低い・・・)
⑥賦課方式の社会保障システム
- 年金制度を積立方式に移行すべき
<以上>
人口減少により、年金制度を賦課方式(高齢者に支払われる年金の財源をその時代の現役世代が負担する方式)で行うことは困難になるということは理解できます。
したがって、積立方式(高齢者が受け取る年金は当該高齢者が現役の時代に積み立てる方式)の移行するという意見も理解できます。
ただし、本書でも記載されているとおり、インフレが激しくなった場合は対応が出来ないという問題点があります。
この問題点に対する対応案について、何か記載されている書籍は資料があれば紹介したいと思います。
⑦評価すべき「100年安心年金」
- 常に今後100年間で得られる保険料と支払う給付額の期待値が均衡するようにしている。
- このように時間をかけて移行するのが適切
<以上>
八田氏は「100年安心年金」を評価されています。
反論する意見もあると思いますので、今後、紹介いたします。