5年後の働き方は?
2022年、「働き方」はこうなる(PHP新書 磯山友幸著 2017年9月発行)を読みました。
いくつか内容を紹介します。
1 早く動いた人が勝つ
急速な人手不足が進んでいるなか、限られた人材の奪い合いを制するためには早く処遇改善に動いた企業が勝つ。
また、働く人にとっても、優秀な人材が転職すると残った社員の仕事の負担が増していくため、よりよい処遇内容の企業を求めて早く動くことが大切。(本書より)
企業はそのとおりだと思いますが、働く人は、スキルが高くないと動くのは逆に処遇がマイナスになりかねません。
スキルを高くすることが勝つこと。ということでしょうか。
2 「正社員」は働き手にとってよい制度なのか
- 正社員は、辞令1枚で国内はおろか世界中に転勤させられ、生活に大きなしわ寄せがくる。
- 非正社員がこれまで大きく増えてきた背景には、正社員型の雇用ではなく、より自由に働きたいという女性や高齢者のニーズがあった。
- 正社員になりたいが、なれないので非正規雇用に甘んじている人は少数
(本書より)
「非正規雇用に甘んじている人は少数」と記述されていますが、調べてみました。
総務省統計局が公表している「労働力調査 平成28年(2016年)平均」によると、「自分の都合のよい時間に働きたいから」:約27%でもっとも多く、「正規の職員・従業員の仕事がないから」は約16%でした。
男性だけみても、「都合のよい時間に働きたい」が25%で、「正規の職員・従業員の仕事がないから」は24.8%で、ほぼ同じ割合でした。
「少数」とまでは言えませんが、自分の意志で非正規雇用となっている人が一番多いことが統計データーから裏付けられました。
非正規雇用の人は、給与よりも自分の希望する働き方で働きたいということですね。
3 「正社員」という働き方では、もはや回らない
- 日本型の「正社員」という「働き方」を前提にしたまま、長時間労働の是正という「建前」を議論すると、それでは会社が回らないという現実に直面
- 従業員は膨大な仕事を自宅に持ち帰らざるを得なくなるなど「ブラック化」が進む。
- あるいは仕事を積み残したまま帰宅し、生産性が大きく落ちるという結果になってしまう。(本書より)
働き方改革で、残業せずに定時帰社を促す会社が増えていますが、仕事が回っているのでしょうか。
4 「雇用を守る」ことは正しい?
- 日本では「人手不足」が深刻化している。
- 「雇用を守る」ことを第一に考えるのは正しいのだろうか。
- 生産性の低いところに、貴重な人材を抱え込んでいないか。
- 山一証券の失業は、人材確保の大きなチャンスとなった。
(本書より)
「もっと雇用を流動化させるべき」という意見はよく言われていますが、なかなか進みませんね。
日本人の意識として、一つの職場で勤めることがよいことと思われています。
人手不足がますます進むと、流動化が進むかもしれませんが。
5 祝日が有給休暇の取得を阻む?
- 日本は有給休暇の取得率が50%程度
- 祝日増などを通じて国が「一斉に休む」日を決めてることが、逆に、有給休暇の取得を妨げて長時間労働に拍車をかけているのではないか。
- 皆が一斉に休むのが効率的だったのは、かつての工場労働
- サービス産業で働く人が圧倒的に増えており、一斉休暇にこだわれば、そうした分野で働く人にしわよせがいく。
- 有給休暇をまとめて完全消化するのが、当たり前な社会を作っていくのが、本当の意味の「働き方改革」である。
(本書より)
有給休暇をまとめて完全消化する社会を作るということは賛成ですが、祝日を減らしたほうがよいという趣旨は少し異論があります。
祝日を減らした場合、多少、有給の取得は増えるかもしれませんが、年間の総労働時間はむしろ増えるのではないかと思います。
「周りや取引先が仕事をしているなかでは休日はとりづらい」と思う人は多いと思います。
意識や雰囲気の問題だと思いますが、「有給の完全取得は当然」という意識が広まることが第一ではないでしょうか。
そのためにはどうしたらよいでしょうか?
(引き続き次回ブログに続きます)