要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

働き方改革関連法案に関する社説を読み比べました。

働き方改革関連法案が閣議決定され、国会に提出されました。

産経新聞以外の各社が社説で論じていますので、その要点を紹介します。

 

ただ、国会は、森友、加計、自衛隊の問題で紛糾しており、この法案の成立が難しくなっていますが・・・。

 

 ãåãã¦ãã人ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

 

 

 

 

 働き方改革 労働者保護に焦点絞れ(朝日新聞 4月7日)

 

  • 安倍政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案には、専門職で年収の高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度高プロ)」の新設も盛り込まれた。
  • 長時間労働を助長しかねないと、多くの懸念や不安の声がある制度だ。
  • 緊急性の高い政策とは切り離して、働き過ぎを防ぐ手立てや制度の悪用を防ぐ方策を、しっかりと議論するべき。
  • 問われているのは、残業代や割増賃金の規制を緩めて、長時間労働や過労死が増える心配はないのか、という点
  • 裁量労働制以上に規制を緩和する高プロを、そのまま法案に残す判断は理解しがたい。
  • 裁量労働制をめぐっては昨年1年間で、272事業所が是正勧告や指導を受けている。野村不動産の違法適用は、問題が表に出た、まれな例に過ぎない。
  • 対象拡大を見送ったからといって、裁量労働制がはらむ問題は放置できない。現状を改め、指導・監督の実効性を高めるために何をすべきか。議論を進めるべきだ。
  • だれのための働き方改革か。政府・与党はそのことを考えるべきだ。

 

働き方改革 国民の不信感払拭に努めよ(読売新聞 4月7日)

  • 政府が働き方改革関連法案を国会に提出した。残業時間の上限規制と同一労働同一賃金の推進が柱だ。今国会での成立を目指す。
  • 気がかりなのは、裁量労働制を巡る混乱の拡大である。

  •  厚労省東京労働局は昨年末、裁量労働制を不当適用していた野村不動産への特別指導を公表

  • 政府は、厳正な指導監督の事例のように国会で言及したが、不当適用された社員が過労自殺で労災認定されたことが後に判明

  •  野党は、政府が過労自殺を伏せて、特別指導のみ公表した点を問題視する。

  •  政府は一連の経緯について可能な限り情報を開示し、説明に努めるべきだ。

  •  野党は、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「脱時間給」(高度プロフェッショナル)制度の削除も求めて、政府への攻勢を強めている。

  •  仕事の多様化に対応し、効率的な働き方を促す狙いは、時宜にかなっている。

  •  重要なのは実効性ある働き過ぎの防止策だ。野党は「過労死促進法案」などと批判するが、長時間労働ありきの考え方だろう。建設的な議論を展開すべきだ。

 

働き方改革閣議決定 残業時間の規制が原点だ(毎日新聞 4月7日)

  • 今国会の目玉である働き方改革関連法案がようやく閣議決定された。
  • 若い世代が安心して働き、結婚や出産ができるようにしないと、社会全体が地盤沈下していく。だから残業時間規制などは重要
  • ところが、もともと政府が成立を目指していた高度プロフェッショナル制度(高プロ)や裁量労働制が関連法案に組み込まれ、議論がもつれるようになった。
  • 労働時間よりも独創性によって労働の価値が決まる仕事の場合は、高プロや裁量労働制について議論する意義はある。
  • しかし、現実には残業代を抑えるため、裁量労働を適用できない人に適用して長時間労働をさせることが横行
  • 野村不動産でも裁量労働制を違法に適用された社員が過労自殺した。政府は国会で同社を特別指導したことを強調しながら、肝心の過労自殺については認めていない。
  • 現実に起きている弊害を認めず、メリットばかり強調するから矛盾が露呈する。これでは政府案に不信が深まるばかりだ。
  • もともと規制強化と緩和という矛盾するものを一つの法案にまとめるのは無理がある。残業時間の規制という原点に立ち返って、働き方改革を議論すべきだ。

 


働き方改革法案を今国会で成立させよ
 日経新聞 4月7日)

  • 働き方改革は日本の成長力を高め、意義が大きい。今国会の審議日程は窮屈だが、確実な成立が求められる。
  • 法案の柱は3つある。「残業時間への上限規制の導入」「労働時間の制度改革として、働いた時間でなく成果をもとに賃金を決める高度プロフェッショナル制度の新設」「そして正社員と非正規社員の不合理な待遇差をなくす、同一労働同一賃金の制度化」である。
  • 経済・社会の構造変化に対応するために、働き方改革は具体化を急がなければならない。
  • 経済のソフト化・サービス化が進み、成果が労働時間に比例しない仕事は急増している。成果重視を前面に出した高度プロフェッショナル制度は時代の要請である。
  • 野党は高度プロフェッショナル制度について「残業代ゼロ」制度と批判を強め、その創設を裁量労働制の対象拡大に続いて法案から削除するよう要求している。
  • だが、生産性の向上を促す新制度を企業が使えなければ、日本の国際競争力が落ちる恐れがある。それでは従業員も不幸になる。政府は新制度創設を含めての法制化をあくまで貫くべきだ。

以上

 

 

論点は、「高度プロフェッショナル制度」をどう扱うかということだと思います。

朝日と毎日は、「高度プロフェッショナル制度は法案から切り離して議論すべき」という意見。

日経は「高度プロフェッショナル制度は時代の要請であり、法制化を貫くべき」。読売は「高度プロフェッショナル制度は時宜にかなっており、もっと建設的な議論を」という意見です。

 

この制度のメリット、必要性、この制度がないとどんな弊害があるのか。ということがよくわかりません。

 

今のまま法制化されると、経営者側が都合のいいように使って、労働環境が悪くなるのでは。という心配が多くの人にあると思います。

 

もっと議論が必要でしょうね。