2019年の論点100を読みました。
毎年、年末近くになると文藝春秋から発行される論点シリーズ、「2019年の論点100」を読みました。
100人の方がそれぞれ意見を述べられていますが、興味を持った意見をいくつか準に紹介します。
「保守」でも「リベラル」でもない安倍一強の理由は「ぬえ」のような多面性にある。(橘玲)
- 読売新聞と早稲田大学現代政治経済研究所の調査で、今の若者は共産党を「右派」、自民や維新を「左派」と見なしている。
- 日本共産党は、現状変更を頑強に拒絶することで、有権者の3%程度の岩盤支持層を維持している。
- 高齢者はこの方針を「リベラル」と評価するが、若者には「保守」としか映らない。
- 若者は昔も今も一貫してリベラルで、より自分達の政治主張に近い自民党=安倍政権を支持するようになった。
- 左派の知識人は小泉政権や橋下の維新の会を嫌ったが、若い世代は改革者だと受け止めた。
- 安倍政権もこの改革を踏襲しており、また、リベラルだった民主党野田政権と同じ。
- ほかに政権の選択肢がないからこのようなことになる。
- 人生100年時代を迎え、100兆円もの借金を積み上げた日本に、高齢者の面倒を見る余裕はない。「1億総活躍」を目指す以外にない
以上、本誌より。
「共産党を右派、自民・維新を左派と今の若者は見なしている」という結果は、おもしろいですね。
共産党としてみれば、「改悪だから反対しているのであって、なんでもかんでも反対というわけではない」という意見だと思いますが、若者はそのようにとらえていないということ。
でも、この姿勢が変わることはないでしょうね。
- 日本はアジアで最初に近代化を達成し、圧倒的な経済的豊かさを実現した自信が、中国や韓国の台頭によって大きく揺らいでいる。
- 損なわれた自尊心を回復するために、書店には「嫌韓・反中」の本が並んでいる。
- 日本社会の底流にあるのが、「リベラル化」と「日本人アイデンティティ主義」
- 安倍首相は既成のリベラル派知識人やマスコミと敵対することで、彼らを嫌悪するアンチリベラルのネトウヨ層を掴んだ。
- その一方で安倍政権は「女性が輝く社会」や「同一労働同一賃金」などのリベラルな経済政策でウイングを「左」に伸ばしていく。
- 安倍政権を「保守」か「リベラル」かの二分法で議論することに意味はない。
- 長期政権の秘密は、ネトウヨに対しては「日本人アイデンティティ主義」、経済政策では「リベラル」、高齢者や旧来の支持者に対しては「保守」という多面性にある。
以上、本誌より
なかなかおもしろい分析だと思います。
これまでの政権とは異なったこの「多面性」が安倍政権の魅力なのでしょう。
著者は「ぬえ」といっていますが、柔軟なこの姿勢が安倍政権の支持につながっているのかもしれません。