要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

来年の予算案についての社説の要点をまとめました。

 

 12月21日に来年度の予算案について、閣議決定されました。

歳出総額は101兆円あまり。

来年1月からの国会で審議されますが、与党が過半数を占めている状況から、この予算で決まることとなると思います。

 

この予算案について、新聞各紙の社説を読み比べました。

要点について紹介します。

 

101兆円予算 不安が募る「過去最大」(朝日新聞)

  • 安倍政権が7年連続で当初予算での国債発行額を減らしていると政府は主張しているが、18年度も2次補正で国債を追加発行する結果、年度を通しての発行額は17年度を上回る。
  • 歳出全体の4分の1は、借金の返済にあてる国債費が占める。
  • このままでは、安定した公的サービスを続けるのも難しくなる。この危機感を政権を感じられないところが、恐ろしい。

 

19年度予算案 異例の景気対策で100兆超えた(読売新聞)

  • 消費増税への対策のために膨張した異例の予算案
  • 過去の消費増税は景気後退を招いた。政府が万全を期す狙いは理解できる。
  • ただ、予算と税制を合わせた対策の規模は適正なのか、予算審議などで精査すべき。
  • 財政健全化に向けた最大の課題は、歳出の3分の1を占める社会保障費の抑制
  • 給付抑制と負担増を伴う、本格的な制度改革に取り組まなければならない。
  • 医療・介護の効率化や給付削減など、改革メニューは出そろっている。国民の理解を得つつ、断行していくことが大切
  • 今回の予算案でも、政府が税収増の前提とした経済成長率は名目2・4%で、1%台半ばが大勢の民間予想よりも高めだ。財政運営は、より現実的な経済見通しを前提とすべき。
  • 消費税率10%は決してゴールではない。財政の先行きを見据えれば、さらなる引き上げは避けられまい。新たな社会保障と税の一体改革の策定が急がれる。

 

初の100兆円予算案 借金漬けでも野放図とは(毎日新聞)

  • 今回は大盤振る舞いが際立つ。
  • 景気対策につぎ込まなければもっと借金を減らせた。
  • 景気への配慮は大切。だが、対策は効果が疑問視されているものばかり。
  • しかも政府は、現在の景気拡大期間が今月で戦後最長記録に並んだ可能性が高いとの認識を示した。ならば過度の対策は不要なはずだ。
  • 景気対策以外も歳出増は目白押し。来年の参院選や統一地方選目当てとみられても仕方がない。
  • 今回は歳出抑制に本腰を入れる必要があった。まして増税で国民に新たな負担を求める以上、無駄をきっちり省くべきだった。
  • 首相が憲政史上最長の政権を担おうというのなら「国難」と呼ぶ高齢化を乗り切る財政を目指すべき。

 

財政・社会保障の持続へ次の改革を(日経新聞)

  • 来年後半以降の需要減に備える一定の対策は理解できるが、当初予算でこれだけ大盤振る舞いが必要なのだろうか。
  • 対策の中身も問題が多い。税率引き上げ分を上回る実質減税はいきすぎではないか。
  • 消費税対策の多くは時限措置。一時期に対策をやめると消費などに悪影響を及ぼす恐れもあり、今後の運用が極めて難しくなる。
  • そもそも消費税率を何のために引き上げるのか。今回の政府予算案からはその基本的な考え方が伝わってこない。消費税の増収分は新たな歳出に回ることになり、国民からみれば何のための増税かがわかりにくくなった。
  • 安倍首相の自民党総裁の任期は21年9月までだ。これだけ長く政権を担当するならば、現世代だけではなく将来世代にも責任のある政策運営を進めてほしい。
  • 安倍政権は社会保障・財政の改革の道筋をつける責任がある。中長期の計画を作るには、野党も巻き込んで超党派で合意を得るのが望ましい。
  • 政権を担当している足元の経済が良ければよい、ということでは困る。

 

来年度予算案 選択と集中の意思見えぬ(産経新聞)

  • 平成最後の予算は、大盤振る舞いとなった。
  • 増税による景気の腰折れは何としても回避したい。そのため政府が対策に万全を期した狙いは分かる。
  • だが、新たな財政需要があるならば、既存事業を見直して予算にメリハリを付けるのが筋だ。その形跡が見えないのはどうしたことか。これでは財政再建を棚上げしたと見られても仕方あるまい。
  • 来年度予算の増税対策で2兆円超を計上した。円滑な実施に向けた臨時的な支出はやむを得まい。

  • 問題は、その実効性である。例えばプレミアム付き商品券は消費を押し上げる効果が薄いと指摘される。それでも実施するのは、統一地方選や参院選を見据えたバラマキという印象が拭えない。

  • 重要なのは増税前後の駆け込み需要と反動減を平準化する取り組みだ。小売店が一斉値上げではなく柔軟に価格を改定できるよう促すなど、

    財政に頼らない対策にもっと知恵を絞るべき。

  • 政府は消費税や国土強靭化の対策を再来年度まで続ける。だが東京五輪後が景気が停滞する懸念もある。

 

<以上>

 

毎日新聞、日経新聞、産経新聞が「大盤振る舞い」。読売新聞が「異例」。と今回の予算案を評しています。

 

 消費税を5%から8%に上げた時に生じた消費の落ち込みを、今回、政府はどうしても避けたいという思いから、このような予算案になったと思います。

 

増税した際の対策について各紙とも批判的ですが、対案について、産経新聞が、「既存事業を見直して予算にメリハリを付けるのが筋」「小売店が一斉値上げではなく柔軟に価格を改定できるよう促す」というぐらいしかなかったのが残念です。

 

産経新聞の社説が一番よかったですね。逆に一番残念だった社説は朝日新聞です。

 

消費税が増税になる来年10月移行、この予算が功を奏して消費があまり落ち込まない結果となるのか、それとも、落ち込んでしまうのか、どのような結果となるでしょうか。