要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

人口減少しても危機はない?

「未来年表 人口減少危機論のウソ」(高橋洋一 著)を読みました。

 

未来年表 人口減少危機論のウソ (扶桑社新書)

未来年表 人口減少危機論のウソ (扶桑社新書)

 

 

高橋氏は、テレビにもよく出演されている方ですが、人口減少に対してどのような意見なのでしょうか。

 

まず、著者は、「未来の年表」について、その本に書かれているような問題点は『特に問題ない』と断言されています。

 

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)

 

 詳細な理由は本書を読んでいただければと思いますが、ざっくり言うと

 

人口が減れば、「入」が減るかもしれないが「出」も減る。

 

例えば、輸血用血液が不足するということに対しては、「輸血対象者も減るのでそれほど影響はない。とか、地方税収が落ち込むということに対しては、「支出サイドも減る」

 

 

将来の人口動向を予想し、それに備えた制度設計をすればいい。人口問題は今のところ想定内にとどまっているのだから。

 

というご意見です。

 

 

人口減少で問題なのは、単に人口減るということより、「人口構造の変化」が問題です。

つまり、日本の場合、これから世界でも例がないぐらいの少子高齢化となっていきます。

そうなると、「入」と「出」がイクオールではなく、「出」のほうが多くなると予想されます。

 

高橋氏のご意見は、「それに備えた制度設計をすればいい」ということですが、

うまく出来れるのか。また、たとえ出来たとしても、抵抗なく実施できるのか。

という懸念はありますが。

 

 

 

 本書では、人口減少問題にかかる対策や見解について、述べられています。

いくつか紹介します。

 

1 移民政策の是非

 

移民について著者は「メリットは何かさっぱりわからない。」強く否定されています。

EUの例、中国人による高額医療の不正利用などをあげて、「移民にかかるコストは労働力不足の損失よりもはるかに大きい」と述べられています。

 

移民の受け入れは労働力不足解消の目的で語られることが多いですが、著者は「AIで置き換えられる」との意見です。

本当にそうなればいいのですが、労働力が不足するスピードのほうが速いような気がします。

 

 

2 年金と社会保障の真実

 

「年金は破綻する」という意見はよく聞きます。

それに対して著者は、「めったなことでは破綻しない。所得さえ上がれば、十分に高齢者を支えることができる。何よりも経済成長が重要。」と述べられています。

 

では、いかにして人口の減少を補うだけの経済成長ができるのか。

については述べられていませんでした。

 

年金に対して著者は、「すごく利回りがいい優れた商品。投資信託やファンドのように、手数料や法人税を取られているわけではないので」と。肯定的な意見です。

 

一方で、民間保険については、「絶対に入らない」と断言されています。

(保険外交員に多額のマージン(よくわからない手数料)を引かれているため。)

 

 

その中でも著者は「イデコ」をおすすめしています。

税制の恩典があり、販売金融機関に支払う運営管理手数料が比較的安いというのが、おすすめする理由です。

注意点としては、年率0.4%も取られるような投資信託には手を出さないほうがいいとのことです。

 

ご参考までに。 

 

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3 国民が税の使い方を選べる「ふるさと納税」

 

著者もふるさと納税の制度設計を手伝っていたとのことですが、最近問題となっている「返礼品」について、著者の意見は

  • 返礼品に上限などの規制は不要
  • なぜなら、ふるさと納税の受入額は、住民税総額の約3%しかない。住民税の根幹を覆すわけではない。
  • 地方自治体間で税の争奪戦が行われる環境づくりの方が大事
  • 競争の中から創意工夫が生まれるし、ひいては地方分権の強化にもつながる。

と「自由にすべき」という意見です。

 

国は結局、ルールを無視した泉佐野市などを制度の対象から外すこととしました。

「何でもあり」というのは、確かにどうかと思います。

今のところ、この国の措置に対し否定的な意見はあまり聞きません。

 

 

4 人口減少時代に我々がなすべきこと

  • 老後の蓄えのポイントは非課税枠を目いっぱい使うこと。
  • イデコは、限度額までなら所得から保険料を全額控除できる。たいへんお得。
  • 「手数料」もポイント。投資信託はおおよそ3%程度。貯蓄型保険の手数料は10%近いものもある。

(本書より)

 

イデコについては、先ほども書きましたが著者は評価しています。デメリットはないのでしょうか?

 

金融商品を考える際に、利回りはよく見ますが手数料はあまり関心を持たない人が多いと思います。

注意しないといけませんね。

 

あわせて、我々がなすべきこととして、本書では、

  • これから「オール副業化時代」に突入
  • 組織に属さなくても自分の力で食べていけるだけの武器を身に着けてほしい
  • 学生が就職先を選ぶには、社会勉強として好都合なところを選べ
  • 人口減少で社会危機を考えるぐらいなら、長寿化に向けて自分自身の生活を考えるべき

と述べられています。

 

「自分自身を高めることが必要」という意見はよく聞きますし、そのとおりだと思います。

 

なにを学び、どう身につけるか。ますます重要になってきますね。