幼児教育・保育の無償化の課題を考えました。
2019年10月から幼児教育・保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法が、10日の参院本会議で自民党と公明党、国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。
これから10月の開始に向け、具体的な事務が進んでいくこととなります。
無償になれば子育て世帯の経済的負担も減り、ひいては少子化に歯止めがかかることも期待できます。
しかしながら課題もいくつか指摘されています。
その課題について考えてみました。
課題1 待機児童が増える
保育料が無料となれば、 子どもを保育所に預けようとする人が増え、ますます待機児童が増加するという懸念が指摘されています。
ただし、厚生労働省の資料によると、平成25年度と少し前のデーターですが、3歳以上の子どもで、保育園にも幼稚園にも通っていない割合は6.6%しかいません。
この数値だけ見ると、無償化が始まることで、新たに保育園に入園しようとする子ども数は少なく待機児童は増えないのではと思います。(ちなみに、0~2歳児は住民税非課税世帯だけが無償化の対象なので、対象者数も限られると思います。)
待機児童が増えるというもっと違う要素があるのでしょうか。
課題2 富裕層への優遇
3歳から5歳の子どもについては、所得制限なく対象となります。
つまり、年収数千万円の世帯でも無償になります。
このことから、「富裕層への優遇制度だ!」という批判は国会でも言われています。
しかしながら、幅広い世帯を無償化の対象とすることで「痛税感」がやわらぎ、増税に対し理解が得られやすくなるかもしれません。
これを契機に保育や教育については、たとえ増税となっても可能な限り負担がない社会を望む人は多いのではないかと思います。(私もそうですが)
課題3 保育の質について
これが一番大きな課題だと思います。
相対的に質の低い認可外保育所も無償化の対象とすることについて、批判や懸念があります。
事実、「うつぶせ寝による死亡事故は、認可外保育所での発生が認可保育所の4倍」とう内閣府の調査結果もあります。
無償化の対象が認可外保育所やベビーシッターまで拡大していることで、新たに無償化のための支出金狙いで、認可外施保育所を始めようとする動きがでてくるのではないかと危惧します。
都道府県等による認可外保育施設の監査は実施されますが、すべての施設を十分に監査できるとは思えません。
どうしても認可外保育施設に預けないといけない方は、監査の結果、問題ない施設なのか、都道府県に確認してください。
その他にも、実際これから開始に向け作業が進む中で課題や問題点が発生するかもしれません。
幼児教育・保育の無償化については、今後も追いかけていきます。