要点はココ! プチ活字中毒者の乱読日記

図書館の本を読み尽くしているプチ活字中毒者です。読むジャンルは偏ってますが、読書する時間のない人に、本の要点を紹介します。

日本経済入門を読んで、2030年の日本について思ったこと。

「日本経済入門」(藤井彰夫 著 2018年1月15日 日本経済新聞出版社)を読んで思ったことを書きます。

 

日本経済入門 (日経文庫)

日本経済入門 (日経文庫)

 

 

 

本書では、まず、平成の30年間の歩みについて述べられ、その後に、

  1. 人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)が生み出す第4次産業革命
  2. 急速に進む人口減少と少子・高齢
  3. 金融・財政政策の試練
  4. エネルギー問題と地球温暖化
  5. 日本とグローバル経済

について述べられています。

 

最後に、2030年の日本と世界の姿に想像しながら、日本経済の直面する課題について、著者の考えが述べられています。

 

ここでは、その最後の点について、要点を紹介します。

 

 

 

 

1 日印逆転、インドがアジアで中国に次ぐ経済大国に

  •  2030年、インドのGDP規模が日本を抜き、インドが世界3位、日本が4位になる可能性が高い。
  • 1人当たりGDPで見ると、2030年になっても日本は中国やインドを大きく上回っていると思われるが、中国、インドの消費市場としては今より大きくなっているのは確実
  • 日本は、日米同盟を基軸とした米国との緊密な関係を維持しつつ、中国、インドとも良好な関係を築いていくべき。

(以上 本書より)

 

そのとおりの意見だと思います。

ただ、インドとは良好な関係が築けそうですですが、中国とはどうでしょうか?

 

「2期10年」という国家主席の任期を規定から削除し、習近平国家主席の強権政治に拍車がかかる懸念があります。

 

一帯一路構想を提唱し、2030年には中国がアメリカを抜いて世界第一位の経済大国になると予想されていますが、どこか危うさも感じます。

 

一方で日本も、2030年、中国やインドから、「良好な関係築きたい国」と思われるようにしなければいけませんね。

 

 

2 超高齢・多死社会の始まり

  • 2030年には、団塊の世代が80歳以上となり、3人に1人が高齢者となる。
  • また、年間の死亡者数が、160万人となり、2015年と比較して24%増
  • 高齢化・多死が普通になった社会をどうやって活力あるものにするか。企業にとって、想像力と創造力が必要
  • 欧米や新興国の中国でも高齢化は進んでいる。
  • 日本で成功した高齢化ビジネスは、世界にも展開できる可能性がある。

(以上、本書より)

 

 

 

はたして日本は超高齢化社会に対応できるのでしょうか?

 

高齢化社会にあった社会保障の給付と負担はどの程度がいいのか。2025年には全人口の4人に1人は75歳以上の後期高齢者という超高齢化社会となります。

 

あと7年しかありません。

 

 

3 財政破綻は起きるのか

  • 2030年、日本の少子高齢化はさらに進み、社会保障費用は急増
  • 政府債務残高の過去の平均ペースの伸びを想定すると、2035年に個人資産残高を上回る。
  • 2030年頃の日本は、財政赤字を国内だけでファイナンスすることが難しくなることが予想される。

(以上 本書より)

 

 

財政再建の取り組みの必要性は誰もが言っていることです。

でも、「具体的にどう取り組んでいくのか。」ということになると、

  • 消費税など国民負担の増
  • 企業や富裕層に対する増税
  • 歳出削減
  • 景気を刺激し税収入の増

 などと言われています。

 

消費税については、2019年10月に10%に引き上げられますが、さらに増やす必要があるという意見もあります。

 

日本の財政状況を見ると、さらに消費税率を高くすることも仕方ないかと思いますが、消費が落ち込み税収が落ち込むという副作用も指摘されています。

 

企業に対する増税することについては、2015年の内部留保が約377兆円(財務省法人企業統計)と過去最高の金額となっている点を見ると、納得しやすい意見です。

 

ただ、内部留保は全額現金というわけでなく、工場や株式などになっている場合もあり、純粋に現預金となると、約199億円と約半分です。

 

経済界は、「企業(全体)の運転資金の1.6カ月分。適正範囲を超えた水準ではない」(2016/11/6 毎日新聞より)という認識です。

 

昨年、経済界は政府の要請により、3000億円拠出することとなりましたが、これぐらいが経済界に求める限界なのでしょうか。

 

なお、2018年度の税制改正で、来年度から3年間、賃上げした等をした企業に対し法人税減税を実施します。

 

これにより、「賃上げ→景気拡大→減税額以上の税収額増」に繋がればいいのですが。

 

 

4 自動運転車、AIが家庭に

  • 2030年には自動運転車が実用化されるのではないか。
  • また、AIが普通に日常生活に入り込んでいるのではないか。

(以上、本書より)

 

 

トヨタは2020年代前半に、日産は2022年に、一般道路で自動運転を実現すると公表しています。(HPより)

 

2030年には人間が車を運転するという概念がなくなるかもしれませんね。

 

 

5 外国人労働者が急増

  •  2016年10月末で、外国人労働数は約108万人と、前年比で約17万人、19.4%増
  • このペースで増え続ければ、2030年には、約350万人となり、15歳から64歳までの生産年齢人口の約5%に相当
  • 労働力人口が急減するなかで、単純作業も含めた外国人労働力を受け入れる制度を本格的に検討すべき時期にきている。
  • 外国人労働者を受け入れる際は、単に足りない労働力を補うという経済面の都合だけでなく、外国人にどうやって日本社会に溶け込んでもらうかを考えるべき。
  • 2030年には、中国や東南アジアなどでも高齢化が進み、「どうやって外国人労働者に来てもらうのか」という話しになっているかもしれない。
  • アジアで人材獲得競争が激しくなるなかで、外国人にいかに魅力的な職場を提供できるかということも考えなければならない。

(以上、本書より)

 

 

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「将来推計人口の年齢構造に関する指標:2010~60年」によると、2010年に8000万人であった生産年齢人口が、2030年には6700万人となると試算されています。

 

女性や高齢者の活用、AIの発達で、マイナス1300万人分を補えればいいのですが、外国人労働者の拡大も視野に入れて考えないといけないでしょうね。

 

しかしながら、本書で指摘されているとおり、2030年頃には、働く場として日本が選ばれないのでは。

 

言葉の壁はやはり大きいと思います。

 

わざわざ難しい日本語を習得してでも、日本で働きたいと思ってもらえるよう、魅力ある国にしないといけませんね。

 

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
にほんブログ村