少子化から脱却する10の提言
未来の呪縛 -日本は人口減から脱出できるか-(河合雅司 著)を読みました。
未来の呪縛 日本は人口減から脱出できるか (中公新書ラクレ)
- 作者: 河合雅司
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2018/04/09
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
著者は本書で、「少子化から脱却するための処方箋」として、10の提言をされています。
そのうち、いくつかを紹介します。
1、20代対象の「母親応援手当」の創設
<内容>
20代で出産した人に児童手当を傾斜配分する。子ども1人あたり1000万円規模とする。
20代での出産を促し、2人目、3人目を産んでもらおうというもの。
財源については後程紹介しますが、これほどの規模の手当がでれば、20代での出産は促進されるでしょうね。
2、第3子以上に1000万円給付
<内容>
第3子以上の出産を見合わせた夫婦の7割が「お金がかかりすぎる」という理由をあげている。
そこで、第3子以上にも、子ども1人当たり1000万円規模の支援をする。
少子化を克服したフランスをはじめ、諸外国では「多子加算」という考え方は一般的。
子どもが生まれれば生まれるほど、家庭支援を分厚くする制度に改めることで、子どもをたくさん産んだほうが特になる制度とする。
これもインパクトのある制度ですね。
「子どもを産んだほうが特になる」という制度は、少子化対策として有効だと思います。
3、「父親休暇」制度の導入
厚労省の調査によると、夫の休日の家事・育児時間が長いほど、第2子以降の出生割合が増えている。
父親休暇を導入することにより、男性が育児に関わることが当たり前の社会とする。
男性の育児休暇取得率はまだまだ低いのが現状です。制度はあるが取得しづらいというのが本音なのではないでしょうか。
法律で「父親休暇」を制定しないと、男性の育児参加が進まないでしょうね。
4、育児保険の新設
育児休業を取得すると手取り所得が大きく減ってしまうため、所得の低い若い世代は子どもをあきらめるケースがある。
そこで、雇用保険の育児休業給付を大幅に見直し、休業前の給与手取り額相当の水準を給付。
育休の取得が進み、待機児童の解消にも資するのではないか。
育休の取得に際し、障害になるような原因は出来るだけ解消したいですね。
5、ゼロ歳に選挙の投票権を付与
親は、自分の1票と子どもの1票の2票を投票することができるようにする。
シルバー民主主義に対抗する方法で、他の本でも紹介されています。
親世代の投票率が低い現状からどれだけ効果があるか疑問ですが、選挙制度を改革するという考えは賛成です。
以上の提言を実行するためには、「財源」が必要なものがあります。
著者は、財源を確保する方法として、「社会保障費循環制度」というものを提言されています。
具体的には
生涯に利用する社会保障サービスのうち、税や国債で賄われた額を死亡時に国に返還するというものです。
つまり、社会保障に係る財源を循環させようというものです。
結局は相続税を多く徴収したらいいことだと思いますが。
いずれにしても、少子化から脱却するためには、大胆な取り組みが必要です。
実現に向けて動き出すでしょうか。