AI×人口減少 これからの日本で何が起こるのでしょうか。
「AI×人口減少 これからの日本で何が起こるか 中原圭介 著」を読みました。
中原圭介氏は「もっとも予測があたる経済アナリスト」と言われている方です。
その方が、未来に対する危惧や提言をされていますが、いくつか紹介します。
1、日本の失業率はオリンピック後に上昇に転じる
- AIやロボットが人手不足を補うというレベルを超えて、人手が大幅に余るのという状況を危惧
- リクルートワークス研究所の試算によれば、AIやロボットによる代替が進むにつれて失業率が上昇に転じることになり、2025年には最大で5.8%まで上昇する可能性がある。
(以上本書より)
「AIの進化と人手不足の進行」。どちらが早いでしょうか。
筆者は、AIの進行のほうが早いという考えのようですが、生産年齢人口が今後ますます減少します。
内閣府の資料によると、労働参加の現状が今のままだと、2015年の就業者数6,376万人から、2030年は5,561万人と約800万人減少します。
これだけの数の就業者数の減少を補えるほど、あと10年でAIが進化するのは難しいのではないでしょうか。
内閣府の同じ資料で、労働参加が進んだ場合の人口の状況も推定されています。
この場合だと、2030年は6,169万人と約200万人の減少に留まります。
これぐらいの減少ならAIで補えるのでしょうか。
2 人口減少に打ち勝つ方法はあるか
①大企業の本社機能を地方へ分散する
大企業が地方で良質な雇用をつくる努力をすれば、それだけで、効果的な少子化
対策になる。(本書より)
本書では、建設機械大手のコマツが、地方に本社機能の一部などを移転した事例を紹介し、コマツを高く評価しています。
地方は都市部と比べ、比較的子育て環境が充実していて、合計特殊出生率は高いのですが、そもそも若い人が少ないため、出生数は少ない状況です。
どの地方も若者の人口流出に悩んでいるなか、著者の言う通り、コマツの取り組みはすばらしいと思います。
コマツのような大企業が地方移転をどんどん進めているというような状況にはなっていませんが、サテライトオフィスを地方構えている企業は増えているようです。
地方に魅力的な企業は増えれば、若者の人口流出も抑えられ、地方創生にもつながるのではないでしょうか。
「東京⇒地方」という人の流れにはまだまだなっていませんが、期待したいです。
②テレワークは自由な働き方は有力な少子化対策となりうる。
少子化に対して主に3つの大きな効果が期待できる。
(1) 地方に良質な雇用を提供できる。
(2) 長時間労働を是正できる。
(3) 育児や子育てで離職せざるをえなかった女性が再び働く機会を得られるよう
になる。(以上、本書より)
テレワークについては、民間はもとより官公庁でも取り入れようとしているところが徐々に増えてきました。
「少子化対策」というより、「働き方改革」という観点で導入が進んでいるように思います。
「場所や時間に関係なく働くことができる」。テレワークやサテライトオフィスは働き方改革の大きなポイントとなり、これから導入する企業も増えていくでしょう。
その他、本書では、「私たちの社会」「私たちの仕事」がどう激変するかについて著者の意見が述べられています。
どこまで現実となるでしょうか。