令和幕開けの社説を読みました。
平成から令和になりました。
新聞各社は、令和となった5月1日の社説で何を述べているのでしょうか。
特に、課題として何を述べているのかを紹介します。
1 朝日新聞
即位の日に 等身大で探る明日の皇室
- 代替わりを受け、いよいよ検討が迫られるのが、皇室活動をどう維持し、皇位を引き継いでいくかという年来の課題だ。
- 30代以下の皇族は7人しかおらず、うち6人が女性だ。
- 今のままでは、秋篠宮家の長男悠仁さまが伴侶選びを含めて、皇室の存続を一身に背負わされることになる。その重圧はあまりに大きい。
- 男系男子だけで皇位をつないでいくことの難しさは、かねて指摘されてきた。しかし、その堅持を唱える右派を支持基盤とする首相は、この問題についても議論することを避けている。日ごろ皇室の繁栄を口にしながら、実際の行動はその逆をゆくと言わざるを得ない。
- 新天皇即位でお祝い気分が社会を覆う。その陰で、天皇制は重大な岐路に立たされている。
(朝日新聞より)
2 読売新聞
平成から令和へ 平和と安定へ努力重ねたい
- 日本は、急速な人口減少、積み上がる債務残高、いずれ来る大災害などの課題への対処が迫られている。模範にできるような国は、見当たらない。
- 自らの創意で長期戦略を練り、粘り強く実行することが唯一の解決策である。悲観論に振り回されず、政治・社会の深刻な分断を回避しなければならない。
- インターネット上で膨大な情報が瞬時に拡散する時代にも、国民の知的水準を維持し、穏当な世論の形成を促すことが何よりも重要である。
- 令和の時代が始まる。平和と安定、繁栄を維持するため、新たな気概を持って国づくりに取り組みたい。
(読売新聞より)
3 毎日新聞
令和時代に入る日本 変化にしなやかな適応を
- 新たな時代に私たちに求められるのは、今後も押し寄せる巨大な変化に適応するための、しなやかさと辛抱強さではないだろうか。
- これからの日本は国内で暮らす人が必ずしも国民とは限らない時代に入っていく。
- 日本の在留外国人はすでに人口の2%、273万人に上る。4月には外国人労働者受け入れ拡大の新制度が始まった。
- 令和の精神が「調和」であるのなら、同質者の集合ではなく、でこぼこの個性を互いに認め合える多様性の尊重でなければならない。それがグローバル化する日本の姿を考える上でのしなやかさだろう。
- 人口減少と高齢化は、社会保障費の不足や財政の悪化に直結する。辛抱強くその痛みと向き合うことなしに、日本社会の安定は望めない。これから生まれてくる令和世代への責任の果たし方でもある。
(毎日新聞より)
4 日経新聞
社会の多様性によりそう皇室に
- 2005年、当時の小泉純一郎首相のもと、若い男性皇族が不足し、皇位の継承に支障が出るおそれがあるとして法律家や学者らからなる有識者会議が開かれている。
- 小泉首相時代の報告書も踏まえ、政府は一刻も早く新たな有識者会議を開くなどして議論を前へ進めるとともに、国民各層から幅広く意見を聴くべきだろう。
- 新しい「令和」の時代、国の内外ともに課題は山積しており、象徴としての天皇陛下の務めや皇族方の活動への期待もますます大きく、かつ多様になるだろう。
- 長い歴史と伝統を尊重しつつも、社会の変化に柔軟に対応する皇室の姿を多くの国民は待ち望んでいるのではなかろうか。
(日経新聞より)
4 産経新聞
新時代にふさわしい国家戦略を
- 少⼦⾼齢化はますます進み、令和20年頃には、65歳以上の⼈⼝が全体の4割近くに達し、 現役世代1・5⼈で⽼⼈1⼈を⽀えるという超⾼齢化社会に突⼊する。
- 少⼦⾼齢化ばかりでなく、財政や安全保障、AI(⼈⼯知能)がもたらす社会変⾰といった国の根幹に関わるつっこんだ論議を国会の場で最近、ほとんど聞いたことがない。いわんや国家戦略なぞとりあげられもしない。
- かつてない少⼦⾼齢化時代や厳しい国際情勢をどう乗り切ればいいのか。国家の根本に⽴ち返った国⺠的⼤議論を国会から巻き起こしてほしい。
(産経新聞より)
各新聞社の社説について、課題と考えている点を中心に比較してみました。
朝日新聞と日経新聞は「皇位継承」のことを、読売新聞と毎日新聞は「日本はどうしていくべきか」ということを述べられており、産経新聞は「国会の在り方」について述べられています。
一番よかったと思ったのは、毎日新聞ですね。
課題を具体的に述べられており、内容も納得できるものでした。
皇位継承も大変重要な課題ですが、「我々が令和時代をどうしていくべきか」という視点で述べられた社説を選びました。
2日以降、課題や解決策についてもっと具体的に述べた記事もありました。
引き続き紹介してまいります。