未来の透視図 目前に迫るクライシス2040
未来の透視図「目前に迫るクライシス2040」(河合雅司 著)を読みました。
河合雅司氏は「未来の年表」の著者であり、今回の著書は、未来の年表の内容をよりわかりやすくするため、図表やグラフを盛り込んだに著書になっています。
第1章:「人生100年時代」の到来-高齢者の激増
第2章:「24時間社会」の崩壊-勤労世代の激減
第3章:「未来の母親」がいなくなる-出生数の激減
第4章:悲しすぎる地域の未来-全国で町やモノが消滅
と、ここまでは、現状のまま何も取り組みをしないと将来こうなるであろうとの予測が、図表を数多く用いられ述べられています。
これらの予測については、未来の年表や他の人口減少問題を取り上げた著書でも述べられていることですが、本著ではさらに、
第5章:ではどうする?「戦略的に縮む」ための5つの提言
と、今後の対策について著者の考えが述べられています。
紹介しますと、
① 便利さからの脱却
著者は人口減少社会を乗り切るためには、「戦略的に縮む」ことが必要と述べております。具体的には、
・勤労世代が1000万人減少するのなら、1100万人の総仕事量を減らす必要がある。
・余剰の「100万人」こそがポイント
・なぜなら、余剰の人員がいないとイノベーションが生まれづらくなり、いずれ陰 っていくことになる。
と述べており、その一つとして「便利すぎる社会からの脱却」を提案されています。
コンビニの24時間営業や年始からのデパートなどの開店についての見直しを具体的に提案されています。
人手不足の状況から、徐々にではありますが、そのような動きになっていますし、この動きはもっと進んでいくでしょうね。
②国際分業化のススメ
「日本の得意分野に人材を集中させていくことで、成長分野を活性化させる。」
これもよく言われることですが、日本が得意としている分野で今後も十分に稼ぎ続けることが出来るのか。という点については不安に感じます。
③居住と非居住のエリアの分離・明確化
これはやらざるを得ないでしょうね。
「居住の自由」の観点から簡単には出来ないとは思いますが、市町村の職員も減っていくと思いますので、丁寧に説明して実現しないと。
必要性をもっと周知すべきです。
④働けるうちは働く
人生100年時代。60歳を超えても働いている人は現在でも多くおられます。
70歳代でも働くためには、健康管理が必要ですが、それとともに、しっかりとした知識や技術が必要だと思います。
そのためには、学びたい人をしっかりと支援する施策が必要です。
⑤1人で2役こなす
急な勤労世代の減少に対して、働き方を複合型、つまり、兼業、副業をもっと進める。という考えです。
この考えには大いに賛成します。
しかしながら、④にも通じると思いますが、定年に関係なく働き続けるためには、多様なスキルを身に着けることが必要になるかもしれません。
国や会社の支援のほか、個人としても、兼業・副業をしていくためにスキルの向上を図っていきたいですね。
以上、①から⑤まで、どこまで実現できるでしょうか。